ICCプロファイル配布できない問題

i1シリーズをはじめとするカラーマネジメント製品のほとんどで、作成したICCプロファイルを自由に配布できないという現実があります。ライセンスで禁止されているのです。

対応してもらえないわけではないのですが、年間いくらというようなエンタープライズ価格でして、許諾内容等を個別に交渉して契約を交わす必要があります。

PCSを介してカラー変換を行うカラーマネジメントの仕組みの上で、ICCプロファイルに結実させた変換テーブルはカラマネのノウハウの塊で、これが全てを決めるといっても過言ではないのですが……。

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この件、この業界において重要な問題の一つと考えています。
端的に言うと、カラーマネジメントを停滞させている原因の一つであると思います。

ここに、インターナショナルカラーコンソーシアム(ICC)のフォーラムに投稿されたスレッドのアーカイブがあります。興味深い内容ですので、ちょっと頑張って読んでみてください。
ICCプロファイルのEULAに関する質問

実際にライセンス料を交渉し、用途を限定的にすることで譲歩を引き出して、特別なライセンスを取り付けることができるかもしれません。行動しないと道は開けない、とは思います。

また、私たちにはArgyll CMSがありますので、まったく方法がないワケではありません。

ただ、この現実、どうやって印刷会社に「自社のプロファイルを提供しようよ」と言えばいいのか、ちょっと途方に暮れる状況だと思いませんか?

印刷会社が自社のプロファイルを提供するというケースで、じゃぁ受け取った側が何に使うのか。

  • CMYK変換
  • ソフトプルーフ(画面上でのシミュレーション表示)
  • 他のプロファイルとガモット比較
  • (分解による)特色の再現能力確認(ΔE計算と見た目のシミュレーション)
  • (分解による)特色のCMYK値の選定
  • デバイスリンク作るなど加工目的
  • プロファイル作成技術力の評価
  • 印刷の標準をどこに置いているかの確認

他にもあるかもしれませんが、これをすべて一緒くたにはできませんよね。

  • PCSからCMYKに変換するテーブル(B2A)
  • CMYKからPCSに変換するテーブル(A2B)
  • テーブルまでは要らないもの(ガモットのプロット図や3Dデータだけあればいいとか)
  • 技術評価だけが目的のもの

B2Aは、そもそも印刷会社だって出したくない、ということもあるでしょう。

B2AはあくまでJapanColor2011CoatedであったりTOYO Kaleido V5.0を使って、その場合のA2Bだけ提供する、という使い方について、もっと自由にできたらいいのではないかと思います。

なぜ自社プロファイルを配布するのか、ってそもそもも。

JP準拠・ターゲットであれば既に素性のいいプロファイルJapan Color 2011 Coatedが添付されているので、プロファイル配布には両極端の意味が出てきそうな気がします。

  • 自社基準の方がキレイであるよ。
    • または特殊機・印刷をもっと気軽に使えるようにしたよ。
    • JPターゲットだけど再現性をもっと詰めたい方向けだよ。

という前向きな?ものと、

  • JPとはかけ離れてるから
    • TAC値落とさせたいから

というものとに分かれるかなぁ、と。

さらに、そもそもとして素性のイイJP2001/2011よりも良い精度でプロファイル化できているのか?という問題もあるかと思います。正直言って、いろんな人にケチつけられながら揉まれてできた(それに力関係があったかどうかは別に)2001/2011と同等以上のクオリティってそうそう出せないと思うのですよ。年数かかるものだと思います。

個人的には、
「うちはJPターゲットでプロファイルこれ使ってくれたまい」
と、
「自社プロファイルあるからこれ使ってくれたまい」
では、前者の方が信用できます。だってその「自社プロファイル」の質の検証からわしらやらんと気が済まないでそ?

基本的に、自社プロファイルというものはその通りに自社内で回すもので、そういった「自社都合」なものは外に出すべきではない、というのが原理主義的な答えで、プラス非常に特殊なものについては欲しい(Kaleidoなど)ので積極的に出して、というのが利用者的答え( ‘ㅂ’)

TAC制限で出すのもまぁしゃあないかな……?

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<ぼそ>(素人さんに)CMYK入稿を求めておいて、コート・マットでTAC制限300%かけるところがあると聞いて「印刷会社変えた方がいい」と申し上げたことがあるます。</ぼそ>

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